初彼 -ハツカレ-
…―あなた。
腫れた目を冷やすために、
彩貴が冷水機でティッシュを濡らして
渡してくれた。
冷たくて気持ちいい。
「あれ?
中川は??」
その声に反応して後ろを振り向くと、
汗だくな木場先輩がいた。
「ぁ、飛希なら向こうの
自動販売機にいますよ」
そぅ言うと木場先輩は
自動販売機のある方を見て
走りながら「ありがとう」
と言い、飛希の下へ走った。
「………目、バレなかったね。
もぅ大丈夫そぅ??」
「いや、まだわかるよ…」
「きっと飛希しか見えてなかったんだよ」
彩貴の言葉に、
あたしの頬の筋肉は緩んで
思わずニヤけた。
「帰ってきたら訊きだそうね」
「当たり前!!」
やっぱり、
誰がいると落ち着いた…。