初彼 -ハツカレ-
戻ったテントの中には、
運良く俺等しかいなくて、
訊いてみる事にした。
「なぁ」
「何ー」
優哉はクーラーボックスの中から
飲み物用の氷を捜している。
「ぁ、あった」
優哉の手には大きな袋の中に
氷がたくさん入っている袋。
優哉はその袋を手で少しだけ引裂いた。
「優哉って、
小泉のどこが好きなの?」
ゴゾッ
ガラガラ―…
音がしたから優哉の方を見ると、
優哉は顔を少しだけ赤くして
クーラーボックスの中に
氷を落としていた。
何だか少し優哉のそんな反応に驚いた。
「馬鹿、そんな大きな声で言うな!!」
「これが普通の声。」
「でもでけぇの!!」
優哉は乱暴に氷を拾って
キーパーの中に氷を入れていた。
何だかこいつが可愛く思えた瞬間。