初彼 -ハツカレ-
木積くんと歩いていると、
珍しく部長が1人で歩いていた。
部長を見ているといつの間にか
木積くんは隣にはいなくなっていた。
焦って木積くんを探したけどいなくて、
ここではぐれたらみんなに迷惑だって
思って部長を大きな声で呼んだ。
でも部長は気付かないで歩いていく。
必死に手を伸ばしたけど全然たわない。
呼んでもダメで、
手を伸ばしてもダメで、
でも必死に部長のところに行こうとした。
―――――……待って……。
この人だかりじゃぁ
全然に部長の知り合いはいる。
周りには部員はいない……。
あたしが今部長の所に行けば、
『彼女』だって思われる…。
『付き合ってること、
誰にも言わないで………。』
ここで部長の所に行ったらいけない。
甘えるな久実。
大丈夫。
目で追ってその後を追えばいいんだから。
そんな事、
幼稚園児にもできる。
大丈夫。
久実、大丈夫。