初彼 -ハツカレ-
何だか無性に、
萌先輩が羨ましく思えた。
部長と同じ歳で、
部長と同じクラスで、
1日のほとんどである学校の時間で
ほとんど一緒にいるんだから。
ずっと一緒なんだから。
無性に、羨ましく思えた。
「久実ー授業始まるよ?」
教室からひょこっと顔を出している
飛希に呼ばれた。
あたしは空元気で
言い返して教室に入った。
授業が終わって少し遠いけど
飛希の席に行った。
「ねぇ飛希。
今度の休み、
買い物に付き合ってくれない?」
「いいけど、何買うの?」
「………香水…。」
「…どうしたのあんた……。」
飛希は頬杖をしながら目を見開いて
あたしを見ている。
飛希が言っている意味は
自分でもわかる。
中2になるまで服には興味無くて
着れるなら着ていた。
化粧も興味無い。
そんなあたしが
香水がほしい。
と言えば飛希は驚く。