初彼 -ハツカレ-




飛希がぐいぐい前に進んで行く。

気付いたらもぅ2人抜かしたら

部長の隣になっしまうぐらい

近づいていた。




「ゃっ…っ!!」

必死になって飛希を止めた。


「?」

「っ…」

あたしはフルフルと顔を横に振らせるだけ。

飛希はあたしを道の端に運んで、

話し掛けた。







「何があった…話して…。」


目尻を触れる飛希の手は、

本当に優しかった…。



だから、

言った……。





「部長が……

キ、ス…してきたのにっ……

『さっきの忘れて』っ…て……」




「はぁ??

なにそれ!!
自分勝手…。」


飛希は本当に怒ってるみたい…。

声が低い…。










「――――それ、本当…??」



背後から聞えた声にビックリして

思いっきり後ろを振り向くと、

新田先輩だった……。



「小泉。それ本当?」

「ぇ…ぁ、は、はぃ……」

「わかった。」

「へ…??」

何がわかったの…?



訊きたいけど、

新田先輩はすでに見えない所まで

歩いていて、

何も言えなかった…。







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