初彼 -ハツカレ-
「いや、何でも無い。
ありがと♪」
そぅ言って新田先輩はあたしの頭を
撫でて笑顔を見せた。
「――――久実…??」
横から声がして、
そっちを見ると亜樹がいた。
「亜樹…」
「誰?」
「あ、弟ですっ」
そぅ言うと亜樹は新田先輩にペコリと
お辞儀をして、
新田先輩も亜樹にお辞儀をした。
チョイチョイと亜樹が手招きをして、
あたしは少しだけ亜樹の所に行く。
「何?」
「あれが“部長”??」
「え? 違うよ??
あの人は新田先輩。
部長の幼馴染で
マネージャーをしてくれてる先輩」
「……………ふーん…。
まぁ確かに考えりゃぁそーか…。」
「??」
「何でもねぇよ」
「????」
何だか意味わかんない。
亜樹も秘密主義者だ。
「あ、やべぇ時間ねぇや…
じゃぁな久実。
何か訊きたい事あんならすぐ訊いて」
「え、ぁ……うん…」
「ビービー泣かれたら
俺だって寝れねぇよ」