初彼 -ハツカレ-
幸せになれると思っていたのに、
現実は辛かった。
更に辛くなった。
本当は心の隅でわかってたのに、
あたしはそれを無視してたんだ。
わざと……。
「……ック…、……」
バタンッ
「……俺、うるさいって言ったよね」
質問してるのに質問してない。
上から見る亜樹の顔が冷たい。
あたしと目が合って
はぁ…とため息をして
綺麗な髪をグシャグシャにした。
「――――…携帯。」
「えっ!?」
「携帯貸して。
んで“新田先輩”の電話帳見せて」
「………?」
理解出来なくてとりあえず亜樹に従った。
見ていると亜樹は突然電話を掛け始めた。
相手は『新田先輩』。
「ちょっと亜樹何してるの!!」
「いいから…」
何て冷たく言われたけど、
やっぱり新田先輩だって
勉強中だったりするから
亜樹から取り上げた。
『―――…はい。何小泉』
「ッッ!!」
繋がっちゃった……。