初彼 -ハツカレ-




「…何だよ…。」

相変わらず冷たくて鋭い目。


「………小泉と…俺の事で…」

『小泉』っという単語に慎吾は反応した。


「………。」

無言で睨まれるとキツい。






「…………最初に訊くけど」

「……。」

「小泉の事、好きか?」

意外な質問で、答えるのが遅れた。

でも、


「好きだ。すんげぇ好きだ」

そぅなんだ。

すんげぇ好きなんだ。

小泉の笑顔がすんげぇ好き。

小泉の泣き顔は、見たくない。



小泉が好きだ。





『優哉ってさ――…』

「ッッ!!」



「――…入学仕立てのとき…」

「………。」




「好きな奴がいたんだ。」


履いていたズボンを強く握って話した。


笑われるかもしれない。

怒られるかもしれない。

呆れるかもしれない。


でも、

小泉のメールを読んで、

変わらないといけないって思った。

小泉の所に行かないとって思った。






「すんげぇ好きで、

すんげぇ好きでどーしょーもなかった。」



「付き合うことになって、

すんげぇ舞い上がった。」



すんげぇ苦しい…。

思い出したくない。

話したくない。


でも、

小泉が――――…









「そいつに、

『遊んであげてるのに調子に乗って彼氏面しないでよ』

って馬鹿にされた。

笑われた。

本当の彼氏も笑ってた。

その彼氏、
俺なんかよりすんげぇかっこいいんだよ……

悔しかった。」






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