初彼 -ハツカレ-
チャリをかっ飛ばして
小泉の家まで行った。
早く小泉に会いたい。
会って謝りたい…。
かっ飛ばして、
やっと家に行ったら玄関に小泉がいた。
「ハッ…ハッ…小泉…」
玄関で座り込んでいる小泉は、
ゆっくり顔を上げた。
上げた顔は夜で暗いのに
泣いていた事がわかった。
「小泉…」
「部長早かったね!!
けっこう距離あるのにっ…」
そぅやって無理して明るくして、…
泣いていたことを隠す……。
「小泉…ちょっとこっち来て…」
「ぅん…」
小泉もこの雰囲気が恐いのか、
声が小さくなった。
近くの公園のベンチに座らせて
俺は小泉の前に立った。
「小泉…本当に悪かった。」
小泉は立っている俺を
ちゃんと見上げてる。
「昔、付き合ってた女に
『優哉ってそんな事するんだ意外…』
とか言われてさ…
そんでそいつに騙されたんだよ
『遊びで付き合ってるのに彼氏面しないでって』
って言われて
それで本当の俺は見せちゃいけないって
思って……あんな事した。
ごめん。」
小泉は、
上げていた顔を下げた。