初彼 -ハツカレ-




「………………小泉……??」


「っ…、……ぶっ…ちょうはっ……

そんな事、…ぃわっれて…

辛く…なかった…?

嫌っじゃなかった…??」


「……………嫌だった。」



あぁなんとなく分かった。


小泉は今でも俺の事考えてるんだ。




「でも、
もぅそんなに辛くないから泣きやめ?」


本当は嘘だ。

今でも辛い。

これは小泉を泣き止ませるための嘘だ。





「何で泣いたんだ?」


流れる涙を拭きながら優しく訊くと、


「だって部長がかわいそうだよ…

あと、…部長が悲しんでいたのに

あたし…被害妄想ばっかりしててっ…


……………ごめんなさぃ……。」




ぎゅっと小泉を抱きしめて、

「俺もゴメン…」

って言った。



あぁやっぱり小泉はいいな…。

すんげぇ好きだ。

すんげぇかわいい。

泣かしたくない。

笑わせたい。

大切にしたい。


そぅ…思った……。






腕の中で泣いている小泉の耳元で

「……好きだ。」

初めて小泉に言った。


泣いている小泉が、

本当に愛しく思えた。






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