初彼 -ハツカレ-
卒業
吹く風が肌を刺すみたいに厳しい季節。
年も明けて、
1月になった。
この冬休みに
部長とデートを一回できた。
その前に
部長と花火大会のときに約束した
映画を見に行った。
飛希と彩貴が本当に張り切って
化粧とか服選びとかしてくれた。
秋になりかかっていたのに
短くて買ってたけど
穿けなかったほどの短パンを
穿けと命令されて渋々穿いた。
短くて恥かしかった。
部長も固まってたから
すぐさま帰りたいって思った。
髪の毛がボサボサなんじゃないのか、
化粧が崩れたとか似合わないとか、
そんな事を思ってすんごい不安だった。
でもここで泣いたらいけないし
逃げるのも、
何だか嫌だったから頑張った我慢した。
不安でいっぱいだった。
勇気を出して
「…………手ぇ繋いでいいですか…?」
って控えめに訊くと
部長は微笑んであたしの掌に
自分の指を絡ませて歩き出した。
何だかその仕草にドキンッってなった。
不安だった物が
全然無くなった瞬間だった。