初彼 -ハツカレ-




映画が始まる前に部長がトイレに行って、

その時間だけやけにリラックスできた。

部長が帰ってきて目が合うと

部長は照れたように目を逸らした。

見たかった映画なのに、

いつの間にか寝ていた。

昨日に彩貴達と話し込んでいたからだ。

起きると部長が顔を合わせてくれないから

恐かった。

寝ている間に何を
していたのか分からないから。


それでも手は繋いでいるから

寂しくは無かった。

哀しいだけ。



でもね、

帰る時に部長の自転車の後ろに乗った。

そのときに、

「今日の小泉、
すんげぇかわいかったから驚いた…///」


って小さな声だったけど

その事を言ってくれた事が嬉しかった。


目の前にある部長の背中に抱きついた。


「大好きです。」

って、……

言えないから……///



でもね、

そんな事言われたから

離れたくないんだ。



あたしの家の前に着いて、

あたしは目で訴えたけど、

部長はそんなあたしを見て笑って

頭を撫でた。

「また明日。」

って言われた。

でも嬉しかった。



「明日も部活来るの??」

「来るよっ」


笑った部長はかわいい。

「~~~っバイバイッ」

「ばいばい」

撫でられた頭が一気に熱くなった。



見たいけど見れない。

そんな感じで控えめに見ると、

部長はそれからすぐに自転車に跨って

帰ろうとした。

やっぱり帰ってほしくないなぁ…。

って思ったけど部長は帰ってしまった。


でもやっぱり、

幸せでした。






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