初彼 -ハツカレ-




「何だかあたしの教室で
部長が抱きついてるのって変だよね」


「確かに。」


部長はあたしから離れて

あたしの前の席に座った。


「ここ誰?」

机の中身を見ながらあたしに訊いた。

「木積くん…」

「隣は?」

「飛希…」

「ここは?」

「彩貴…。」



「………。 檜野は?」

「隣のクラス」

部長が何を訊きたいのかわかって、

微笑しながら答えた。





「なに笑ってるの」


あたしは自分の机の前に立ってて

部長は木積くんの椅子に反対に座って、

背凭れに顎を乗せて訊いていて、

自然に上目遣いになっていて、

部長がかわいいって思った。



「何でもない」

「まだ笑ってるし」


あたしも席に座った。

部長とこんな風に授業を受けれたら、

こんなにも寂しいとか、

もっと一緒にいたいとか

ぎゅっとしてもらいたとか

キスしたいとか

そんな風には思わなかったんだろうな…。



「こんな風に授業受けれたらなぁ…」

「………」

部長も同じ事思ってた。

「そしたらこんなに不安になんてならない」

何が不安なのかな?

大学の勉強の事かな??

「分かってないな;;
檜野と必要以上話すなよ」

不機嫌面の部長が後ろを

振り向いてあたしをを見た。

そんな部長がかわいくて、

思わず抱きついてしまった。






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