初彼 -ハツカレ-




「あ、」

「?」

「チャリの鍵忘れた。
玄関で待ってて」

「ぇ、」


走りだそうとしている部長の

上着を必死に掴んだ。



「?」

「、ぃやっ……」


周りは真っ暗で、

しかも誰もいない学校は怖すぎる。


それがわかった部長は笑って

あたしの手を握って歩きだした。







「そーいえば教室、

後輩が何かしてくれたみたいで、

俺等教室見てないんだよな」


部長はウキウキしてる。




教室を見たら、

後ろの黒板に言葉が書いてあった。

真中に大きな文字で

『卒業おもでとうございます』

の文字。


メッセージ中には、

市丸先輩や西川先輩や
大塚くんや木積くん達も

メッセージを書いていた。


前の黒板には、

『卒業まで……
 ついに明日が卒業☆』

っと書いてあった。



あたしのクラスより少し少ない席。

汚れた教室。

部長がここで授業受けてたんだ…。


「部長の席どこ?」

黒板のメッセージを
1つ1つ読んでいる部長。

「んー?
真中の後ろから2つ目」

あたしの席とけっこう近い所だった。


「ここなんだー…。」

「左斜め前は浩。」

「へー、
新田先輩と萌先輩は??」

「慎吾は廊下側の1番後ろ。
川井はその列の1番前。」

「へー…」

よかった。
萌先輩とそんなに近くない。






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