初彼 -ハツカレ-
部長は全部読み終わったのか、
あたしが座っていた
部長の席の机に腕を突っ込んで、
鍵を取った。
「そろそろ帰ろう。
そと真っ暗。」
「………本当だぁ…」
教室から見て、
外はキラキラしていて綺麗だった。
「帰ろ」
「うん」
暗い暗い廊下を一緒に渡った。
時々部長が急に走り出すから
残されたあたしは本当に恐くて恐くて…;;
そのたびに部長が満面の笑みを見せるから、
あたしはそれだけで許してしまうんだ…。
今日はあたしは自転車で来ていない。
部長が送ってくれるって言ったから
あたしの今日の行きは
お母さんに連れてきてもらった。
「この前痛そうだったから
持ってきたんだ」
「?」
何を持ってきたんだろう。
部長は鞄の中をゴソゴソ探った。
「座布団」
部長が鞄の中から出したのは
オレンジの座布団で、
思ってもいなかったことで、
あたしは笑ってしまった。