初彼 -ハツカレ-
「笑うなよ。
せっかく小泉のために持ってきたのに」
「ごめんなさい///」
部長と一緒に校門を出て、
先にサドルにまたがった部長の
後ろにあたしは乗った。
カーキ色の上着は、
部長の背中を大きく見せた。
カーキ色の上着に顔をすり付けると、
部長の匂いとジワリ…と部長のぬくもりを感じた。
大きな背中に、
ぎゅっと抱きついた。
部長が好き。
部長はわざと遠回りをして、
わざと遅くこいで、
あたしと部長は隙間なんて無いくならい
いっぱいいっぱい話をした。
時々、
一緒に叫んだりもした。
今日、
部長に会ってからの一瞬一瞬が
大きな宝物になった。
部長が大好き。
「………。」
「………。」
あたし達の会話が止まったのは、
あたしの家に着いた時だった。
「…………部長……。」
「………ん?」
恥ずかしかったって、
今に勝るもの何て無いの……。
「…………まだ、
…………一緒にいたいです。」