初彼 -ハツカレ-
「ンッ…ふっ……」
あたしの舌に絡まってくる部長の舌は、
何だかいやらしかった。
あたしもさり気なく合わせようと思って、
少しだけ絡めると、
部長と更に絡まって、
倒れるかと思った。
「っ…フ『♪~~♪~♪~~』
そんな時にあたしの携帯が鳴った。
あたしの携帯が鳴って、
部長は唇を離した。
「っはぁ…はぁ……っ///」
「電話、出なよ」
あたしはこんなに息切れしてるのに、
部長は全然してなくて、
やっぱり男の人は違うって思った。
「っ…何?」
『久実今どこいんだよ。
遅くね?』
「亜樹…。
もぅ少しで帰るから…」
『何そのがっかり様…。
もしかして邪魔しちゃった?』
声でわかるけどきっと今、
亜樹は電話をしながらニヤニヤしてる。
絶対してる。
「うるさいっ///」
そぅ言ってあたしは電話を切った。
部長を見ると、
あくびをしていて、
何だかそんな顔をしている部長を見るのは
初めてで、
じっと見ていてしまった。
「じゃぁ帰るか。
明日も早いし」
「うん」
手を繋いで、
あたしの家まで行った。
「ごめんね?
明日…卒業式なのに…」
「いいよ。
また明日。」
部長の
『また明日。』
が聞けるのは、
今のが最後。
これからは、
あたしは部長に
2日連続で会える事は無いと思う。
今日で、
部長の『また明日』
は最後。
―――最後。