初彼 -ハツカレ-
授業の時には、
あんまり部長とか飛希の事は
考えないようにしてるけど、
どうしても考えちゃって、
進級して最初の、
こんな時期の授業は大事だって、
分かってるのに集中できなかった。
飛希はいつも通りで、
何も考えてないみたいに
真面目に授業を受けていた。
授業が終わってすぐにあたしは
飛希のところに駆け込んで、
飛希は何だか分からないみたい。
確かに何も言ってないしね。
「木場先輩と会った?
卒業してから…。」
飛希はキョトン…っとした顔で、
コクンッと頷いた。
その顔は、
凄く嬉しそうな顔で、
凄く羨ましかった。
木場先輩は家から通学してるから
会おうって思えば会えるよね。
でも部長の学校は遠いし、
寮に入っちゃったし、
部活と勉強で忙しそうだし、
なかなか電話も自分から
しようとは思えなかった。
部長も真面目な人だから、
最初の授業が大事だってわかってる。
分かってるからあたしは、
電話すらできない。
「久実会ってないの??」
「ぅん」
「だからそんな不機嫌な顔してるんだ;;」
「余裕ありますな」
ムスッとした顔で言うと飛希は笑った。
「久実かわいいね」
「ウルサイ」
そー言うと更に笑った。
余裕かましててムカツク。