初彼 -ハツカレ-
その後に教室に戻って、
席についたけど携帯を見る勇気は無かった
檜野くんにあんな事言ったくせに、
自分は何も出来ない。
恐いからあたしは逃げてる。
「あれ? ツヨシいないじゃん」
「?」
教室のドアの所に、
知らない男子が4人くらいいた。
「ほんとか? ツヨシー!!」
教室に顔を入れて、
大きな声で読んでるけど
その『ツヨシ』くんはいないらしい。
「あ、小泉、ツヨシいる??」
その中に去年同じクラスだった
中本くんがいて、
あたしに訊いて来た。
「中島くん…;;
その、ツヨシって誰??」
「木積だって!!
アイツ木積剛って名前じゃん」
「あっ!!」
そーいえばそーだった!!
「木積くん、休憩の時は大体…
寝てるかご飯食べてるかだからなぁ…」
今みたいに
どこかに行ってる事はほとんど無い。
「あ、来た」
中本くんの視線の向うには、
いつもみたいに少し眠そうな顔を
している木積くんがいた。
「潤どーしたの珍しいじゃん」
「お前どこ行ってたんだよ」
「無視か? 便所」
「あーなるほど」
木積くんってこんな感じだったっけ;;
「………何?」
話をしてるのにどこにもいかない
あたしが不審に思ったのか
木積くんが訊いて来た。
「あ、後で話が…;;」
「あぁいいよ」
「何々?? もしかして付き合ってる??」
「絶対無い」
そぅ言った木積くんに
心の中で『酷いッ!!』っと思いながら
あたしは自分の席に行った。