初彼 -ハツカレ-
「あぁ俺だ。 悪い」
「いや、別にいいんだけどね」
昼休憩に教室に前の廊下で
木積くんに確認したい事があったから
正直に訊いてみた。
確認した事っていうのは
『木積くんが檜野くんに
部長と付き合ってる事を言ったのか』
ってこと。
「ごめんな。
隠してたんだろ?」
「確かに隠してたけどもぅ
飛希と彩貴と新田先輩と木場先輩と
木積くんも知ってるから
全然いいよ」
「そんなに知られてたんだ。」
「あ、後萌先輩も知ってるかも」
「すげーじゃんもぅバラしたら?」
「今更だよ」
「確かに」
やっぱり去年から木積くんは話しやすい。
入学してからほとんど経ってない時期でも
あたしは普通に木積くんと話をしていた。
みんなは「恐くないの?」
って訊いて来たけど
あたしは別に恐いとは思わなかった。
恐いと感じたのは市丸先輩だ。
「あ、そー言えば木積くん、
まだ好きな人できないの??」
「まだって;;」
「だって協力するって約束したじゃん」
「そーゆーのは気長に待つタイプ」
「そー思うけどぉ~…」
「せっかちな小泉には
相談なんてできないな(笑)」
「なにそれーっ!!
ってか木積くんも悩んだりするの??」
「するに決まってるじゃん。
何? 小泉まで俺の事ロボット
みたいとか思ってんの??」
木積くんは小さく笑って言ったけど、
何だかそのセリフは
哀しく感じた。
「そんな事思ってません!!」
ムキになって返すと、
木積くんは笑った。
「木積。」
後ろから声がして、
見てみるとそこには
木積くんが尊敬している市丸先輩がいて、
あんまり見れない
木積くんの明るい顔を見せた。
「ちょっと話あるけど小泉いいか?」
「はい。もぅ終わったので…。」
若干嬉しそうな顔をしている木積くんに
あたしは笑って教室に入った。