最後の恋。
リビングに入ると 「失礼します!初めまして、今井雄介と申します。」そう言って深々と頭を下げた。「そんなにかしこまる様な家じゃないんだ。頭を上げて。とりあえず座りなさい。」父の一言で頭を上げた。「はい。失礼します。」 それに合わせて、お茶の準備を始める母。「此処はいいから、あなたも座りなさい。」「分かった。」ソファーに座ってカチコチになってるあいつが何か可愛い。「うちの娘はね、親に似ず、頭が良くてね。小さい時からアナウンサーになる夢だけを見て、必死で勉強してアナウンサーになったのにそれを捨てて結婚したんだが、花梨が産まれてからちょっとして離婚をしてしまってね。それからは、馴れない仕事で鬱になりながらも、必死で花梨を育てたんだよ。」花梨を見て優しく微笑む父。「はい…。結婚してた頃は、あまり知りませんが、離婚なさってからの仁美さんなら僕はいっぱい知ってます。ホントに一生懸命で、仕事にも妥協をしないで、僕達にも親切に色んな事教えてくれました。業界人としても、子供を育てる一人の女性としても、僕は尊敬しています。そんな彼女を笑顔でいさせてあげたいって思ってます。」父の目を真っ直ぐに見た。