最後の恋。
「緊張したぁ。」周りに聞こえない様に小さい声で呟いた。「お疲れ様。」私もそっと腕を背中に回した。「あんなに緊張したのって、初めてドラマの撮影でセリフ言った時以来だよぉ。」私の右肩に顔を埋めてきた。「よく、頑張りました。」そう言って背中を撫でた。「仁美ちゃん。頑張ったご褒美ちょうだい?」小さい子がおねだりするみたいに、甘えた声を出す。「何がいいの?」「キスして?仁美ちゃんから。」埋めた顔を上げ、私の顔に近付けた。「ちょっ…、こんな所で、ダメだよ。」いくら何でも、此処は洗面所。いつ人が来るかわからない。
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