最後の恋。
「仁美ちゃん、ただいま。」花梨から私に視線を移した。無邪気に笑う顔は、あの時と全然変わって無くて。私を安心させる笑顔…。少しだけ見て俯いてしまう私。「仁美ちゃん、話し有るんだけど。いいかな?」花梨を床に下ろすと私の腕を掴もうとした時、「ヤダ!帰って。何で?何で東山里可なの?もう傷付きたくないの!言い訳なんか聞きたくない!」静まり返る部屋で、誰1人、口を開かない。床に置いてあったボストンバッグを開けて包みを花梨に渡す。「花梨ちゃん、お土産。気に入るといいけどな?」受け取った花梨が、目を大きく見開いて「有難う、雄介君。」「良かったわね。花梨。今井さん、どうも有難う。」そう言って花梨の部屋に行く。「これは、仁美ちゃんに。話し聞いてくれるまで、何度でも来るから…。今日は帰ります。」ボストンバッグを担いでリビングを出て行った。