最後の恋。
「う~ん…。」目を覚ますと自分の部屋と違う天上が見えた。慌てて横を見ると、固く目を閉じて、規則正しい寝息を立てて眠る彼がいた。「私、あれから寝ちゃった?ヤバイ、幼稚園!!」勢いよく体を起こすと「仁美ちゃん、おはよ。」目を擦りながら彼が起きた。「ごめん!もう帰らなくちゃ。花梨の幼稚園の時間が!」パニクる私に「仁美ちゃん、いい眺めだよ?全部見えてるけど。」ニヤニヤしながら、私の首から下を見てる。 「見ないでよ!恥ずかしいから。」急いで布団を胸元に掛けると「もう遅いよ。」大きな口を開けて笑い転げてる。「スケベ!」熱くなる顔を布団に埋めた。「送るよ。花梨ちゃん寂しがってるね。」そう言って枕元に有る小さな包みを取って開け始めた。「仁美ちゃん手、出して?」その言葉に右手を差し出すと「違うよ。普通、左手でしょ?」言われるままに左手を差し出すと、薬指に小さな石の付いたリングをはめてくれた。「あまり時間無かったから、たいした物買えなかったけど…。予約していい?」突然だったから、ポカンとしてると「いつか、俺と結婚して下さい。」少し照れながら、優しい眼差しで私を見てる。「お願いします…。」ちょっと早い予行演習の誓いのキスをした。
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