【短】雨宿り
胸の中から心臓を取り出して見れたなら、きっとピンク色のハート型のど真ん中に、大きな矢がズキュンッと突き刺さっていたはず。

そんな気がした。

そんな風に思ったのに。


───
────……




今、私はひとりで、コーヒーゼリーを口に含んでる。

今ならちゃんと味わえる。

この、ゼリーと言うよりは、プリンに近いくらいな柔らかい感触や、苦さの中にある甘味に。

しっかりと感じ取れて、あの日より何倍も美味しく味わえるはずなのに。

なのに……。

美味しいのに。




なぜだか、しょっぱい。





バカ。

バカバカバカ。




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