【短】雨宿り
「じゃあ、1人で考えたらいいじゃないですか。私には関係ないし」

「んー……。でも考えてもわからないから、助けてもらえません?女の気持ちは女に聞け、みたいな?」

「そういう、自分で考えようとしない姿勢がいけないんじゃないですか?

喧嘩したとか言っておきながら、こんなとこで流暢にトリオ頼んで、見ず知らずの女に話しかけるなんて、軽率すぎると思いますけど」

私は自分のグラスに視線を落とし、ストローでミルクをぐるぐるとかき混ぜた。

「あなたは、なんで、別れたん…ですか?」

彼が聞く。

「嫌いになったからです」

「なんで嫌いになっちゃったんですか?」

「……」

「最初は好きだったんですよね?じゃあ、どうして嫌いになっちゃったんですか?

僕もよくわからないけど……相手の嫌な部分も受け入れるのが、結婚なんじゃないですかね?」

「我慢しろって言いたいんですか?」

「いや、我慢じゃなくて。我慢しないで、言いたいこといっぱい言い合って喧嘩するのはむしろいい事だと思うんですけど。

お互い言い合った後に、理解して思いやる気持ちが必要なんじゃないかと」
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