【短】雨宿り
「彼女と仲直り……できませんかね?」

彼が涙に濡れた私の顔を覗き込む。

「ばか」

「ダメ……かな?」

ばかなんだから。

ばかばかばか!

でも1番バカなのは、私。

言いたいこと言わなかった私。

わかってほしいと思いながら、彼の気持ちを考えようとしなかった私。

彼の愛を信じきれなかった私。

「ごめん。あお……」

私は彼の服のお腹の部分をギュッとつかんだ。

「これも、好き」

碧斗が言う。

「こーやって、服つかまれんの、好き。それと」

それと?

「悪いのは俺なのに、そーやって謝ってくれる素直な亜美が、好き」

「……ずるい」

「ん?」

「口下手だとか言いながら、こんな時に『好き』連発するんだもん」

「だって必死だもん。亜美いなくなったら俺どーやって生きてけばいい?」

「……ばか」





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