空が泣いた日
居場所



血が肌を伝う感覚が
気持ち悪かった。


しかし、どれだけ血が溢れ出ても
雨がそれを洗い流していく。



自分でも驚くほどに
千晶紀は冷静だった。


自分に向けられている
ぎらつく刃先を見て、
綺麗だな、だとか
馬鹿げたことを考えたりもしていた。



ただ、自分のすぐ脇で絶命している
父だけは見れなかった。



本当に一瞬。


あっという間にこの目の前にいる男に
殺されてしまった。


何の罪もない父がなぜ殺された?



冷ややかな目で男を見据える。



男は口元をにやつかせながら
喋り出した。



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