空が泣いた日



「よしっ!それでは今から土方さんを呼んでくるのでちょっと待っててくださいね-」



沖田は手をパチンと
叩くと立ち上がった。



そして襖の前でもう一度
千晶紀を振り返り、



「絶対安静ですよ!」



と言い残し、部屋を出ていった。



部屋につかの間の静寂が訪れる。



一人になると嫌でも
思い出してしまう。



昨日の夜のことを──…



鼻につく血のにおい、
男の引き笑い、雨の音───



そう言えば父はあの後
どうなったんだろう?


それに私を助けてくれた
二人は誰?



昨日のことを考えると
心が鉛のように重くなっていく。



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