空が泣いた日
「それでおん──…千晶紀。
…肩の調子はどうだ。」
沖田のにこやかな顔に比べ、
土方は仏頂面そのものだった。
声のトーンも低く、
喋り方だってぶっきらぼうだ。
「まだ痛みは残っていますがもう大丈夫です。
…本当に、ありがとうございました。」
土方は気にするな、と短く言い
さらに言葉を続けた。
「昨日のことなんだが──…
詳しく教えてくれないか。」
土方が言いづらそうに
少し言葉を濁す。
本当は言いたくない。
昨日のことなど
すべて忘れてしまいたかったが、
今はちゃんと事情を
説明しなければならない。
言わなければきっと
この人達は困るだろう。
それぐらいのわきまえは
千晶紀にだってあった。
生前父と母には
人を困らせるようなことを
してはいけない、
と耳にたこができるほど
五月蝿く言われたものだ。
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