空が泣いた日



二回も、嘘をついてしまった──…



千晶紀は自分で自分を戒めた。



これからの寄り所のこと。


そして…


肩の傷が治るまで
ここに留まるということ──…



千晶紀はここに留まるつもりは
全くなかった。


今日の晩、
ここを出て行くつもりだ。



昼間のうちは屯所内の
人間の目があるから
出て行きにくい。


だから夜に出て行くのだ。



沖田や土方に黙って
屯所を抜けることには
ものすごい罪悪感があった。



京では悪い噂ばかりの新撰組が、
見ず知らずの自分に
ここまでしてくれたのだ。



はじめはこの優しさに
正直戸惑っていた千晶紀だったが、
彼らの優しさに触れて
心の傷も癒されたのだ。




だけど…


いや、だからこそ
私は屯所をでていく──…



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