空が泣いた日



「そいつが腹でも空かしてんじゃねえかと思って飯を持ってきてやったんだよ。」




顎で千晶紀を指し、
淡々としゃべる土方。



その頬が薄く赤くなっていたことは
沖田も千晶紀も気づいていた。



口は悪いが、その裏には
土方の優しさがいっぱいだ。




「土方さん…」



「あ?」




冷えた心がどんどん
温かくなっていく。



こんないい人たちに
人生の中でそうそう
出会えるものじゃない。



それにしても皮肉なものだ。



だって昨日の惨劇があったからこそ、
こうして彼らに
出会うことができたのだから。




「本当にありがとうございます!」



「…おう。」




そのときの千晶紀の笑顔は、
土方の胸を高鳴らせるのには
十分な魅力を放っていた。




(あんだよ…
ちゃんと笑えんじゃねぇか…)




土方は千晶紀にむすびを渡し、
自分も沖田の横に腰を下ろした。



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