空が泣いた日



憎い…


ただこの男が憎かった。



だが、それが千晶紀の表情に
出ることはない。



今すぐ男をここで
殺してやりたかった。



しかし、男に切られた
肩からの出血が酷く、
体がいうことを聞かない。



千晶紀はさらに
男が何かいう前に言葉を続ける。



「殺しなさいよ。
あんたみたいな腐った男に
体許すぐらいなら自分で舌噛み切って
死んでやるわよッ!!」



「…なんだとッ…このクソ女がーッ!!!」



逆上した男が刀を
一気に振りかざす。



千晶紀は反射的に目を閉じた。




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