空が泣いた日



秋の晩はよく冷え込む。




千晶紀は軽く身を震わせながらも
足早に門へ向かった。




そして、門に手をかけたとき
聞こえるはずのない声が聞こえた。





「どこに行くんです──…?」




柔らかい物腰。


澄んだ瞳に整った顔。









「──沖田、さん…」





壁により掛かり、
腕を組みながら千晶紀を見るのは、
紛れもなく沖田だった。




だが、その瞳に
いつもの穏やかさはない。



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