空が泣いた日



「もう一度聞きます。
どこに行こうとしてるんですか?」



「その…叔母の家に──…」



「嘘だ。」




沖田はきっぱりと言い放つ。



その言葉には
いっさいの迷いもなかった。




千晶紀の瞳の奥が揺れる。



もちろん沖田は
それを見逃さない。




「どうしてそんな嘘をつくんですか。」



「嘘じゃないです。
どうしてそんなこと言うんですか…!」




千晶紀も負けじと言い返す。



ここで引いては
いけないと思ったのだ。



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