空が泣いた日
沖田は軽く息を吐く。
自分を落ち着かせるためだろうか。
「そんな話聞いたときから嘘だと分かってましたよ、私も土方さんも。
私がここに立っているのも、二人の意見が合ったからです。」
そこまで言われたら
もうこの嘘を突き通しても
無意味だろう。
「そうですか──…
だけど、私がここに留まることはできません。」
「どうして──…?」
沖田の言葉に悲しみがこもる。
「私がここにいても邪魔になるだけですから…」
「そんなこと…」
「そんなことあるんです!
私はここにいても何も出来ない…」
知らずの内に千晶紀の頬は
涙で濡れていた。
「そんなことないです。
あなたには周りにいる人を笑顔にすることが出来る。」
「そんなんじゃ…
新撰組の方々に
何の恩返しもできな──…」
刹那。
千晶紀の細い体は、
沖田の腕に包み込まれていた。
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