空が泣いた日



沖田は軽く息を吐く。



自分を落ち着かせるためだろうか。




「そんな話聞いたときから嘘だと分かってましたよ、私も土方さんも。
私がここに立っているのも、二人の意見が合ったからです。」




そこまで言われたら
もうこの嘘を突き通しても
無意味だろう。




「そうですか──…
だけど、私がここに留まることはできません。」



「どうして──…?」




沖田の言葉に悲しみがこもる。




「私がここにいても邪魔になるだけですから…」



「そんなこと…」



「そんなことあるんです!
私はここにいても何も出来ない…」




知らずの内に千晶紀の頬は
涙で濡れていた。




「そんなことないです。
あなたには周りにいる人を笑顔にすることが出来る。」



「そんなんじゃ…
新撰組の方々に
何の恩返しもできな──…」









刹那。




千晶紀の細い体は、
沖田の腕に包み込まれていた。



.
< 33 / 36 >

この作品をシェア

pagetop