哀しきこと…

「ケホ‥‥ケホ‥‥」


笑っていた姉の爽佳が、顔をしかめながら小さな咳をした。


「お姉、どうしたの?」


紘伽は、妊婦の姉が心配になり問い掛ける。


「ん?ちょっと煙かったの」


そう指を指す先には、歩きタバコで笑うおじさん達がいた。


「妊婦にタバコの煙りはヤバイよね」



紘伽はすぐに、光一を妊娠中に、姉が見せてくれた雑誌の特集を思い出した。




< 6 / 89 >

この作品をシェア

pagetop