俺様王子と秘密の時間
バタン!
カチャッ
わぁああああああ!
なんでこんなことになるの?
「ちょっとお姉ちゃん!開けて」
あたしはたった今、アパートのお姉ちゃんの部屋から追い出されたのだ。
しかも無理矢理、淡いピンク色のミニワンピースを着せられて。
ノースリーブで、胸元にはフリルがあしらわれていて鎖骨がチラチラ見えるセクシーな作り。
七分丈の白いジャケットを羽織り、あたしはパニック寸前に陥る。
ドンドンドン――!
何度扉を叩いても返事はナイ。
あたしが叫び続けているとやっと薄いドアの向こうからお姉ちゃんの声が聞こえた。
「椎菜、何事も経験よ?青春ってイイわねぇ……」
せ……青春なんてそんな清々しい言葉で表すことなのぉ?
も……もおダメだぁ。
荷物はケータイのみ。
時刻はもう夜の9時を回ろうとしていた。
あたしは半泣きになりながらバカ王子の家へと向かった。