俺様王子と秘密の時間


「アンタ、何してたわけ?」


メイクのケバい女の子が腕を組ながらキッとあたしを睨みつける。

シュンッとしたまま、あたしはやっぱり何も答えられないんだ。



「川村さん?だよね?」


南センパイが俯きがちのあたしの顔を覗きこむ。

センパイはあたしのことなんて知らないけど……あたしは知ってるよ。

南センパイのこと。

だっていつも見てたんだもん。



好きになったのは1年の体育祭のとき。

100メートル走でハデにコケたあたしは、恥ずかしくて顔を真っ赤にしながらなんとか完走したの。

ゴールの先にセンパイが居て、あたしと目が合ったら、すっごく可愛い顔で笑ってくれたんだ……。


一目惚れってヤツ。


でも、今ココに居るのは……あたしの知らないセンパイ。

 

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