俺様王子と秘密の時間


お姉ちゃんのバカぁあああ!


外はねっとりとした暑さが広がっていてお姉ちゃんがあたしに着せたジャケットは不必要だった。



はぁああああ――。

大きなため息をつく。


夜道はちょっと外灯がポチポチと光っていてコンビニや高層マンションの明かりのおかげであまり怖くはなかった。


肩を落としながらとぼとぼと学校方面へ足を運ぶ。

お姉ちゃんのアパートから学校まではほんの15分くらいだった。

そして花森ビルとはどっかの企業なんだけれど、高層ビルでしかも看板がどデカイため嫌でも目につくのだ。

学校帰りその反対側を歩いて帰宅するため何度も見たことがある。




花森ビルの前に着いた。

えーと、花森ビルの2個隣っと。

左隣は居酒屋さん、その隣も飲食店だから違う。

じゃあ右隣かぁ。

道を挟んで隣に一軒家がある。

一個目。

二個目。


「ココだ!」


って………え?

花森ビルの隣の隣。



顔を上げたあたしはカチカチに固まってしまった。

 

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