俺様王子と秘密の時間


ち……千秋?

腕の中にすっぽり収まるあたしは甘い匂いに酔いしれてしまいそう……。

抱きしめられた身体が温かくて、逆に千秋の胸は少し冷たい。

あたしが千秋から体温を奪っているみたい。



「悪ぃ……オレ、お前のことメチャクチャ傷つけた」


搾りだすような千秋の声はさっきの時みたいな挑発的なモノとは違ってちょっと苦しそう。



傷ついてるわけじゃないの。

どうしたらいいかわからなくて。

曖昧に誤魔化してきた自分の気持ちに気づいてしまいそうで。




フワッ……

千秋は着ているバスローブを脱いであたしの身体を包んだ。

下着一枚になってしまった千秋。



「ち……千秋!」

「ごめん……もぉしねぇから、泣くな」


千秋は優しいキスを落として、あたしの涙を指で拭った。



「……うぅ…千秋ぃ」


子供みたいに泣くあたしの頭を優しく何度も撫でてくれる。

 

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