俺様王子と秘密の時間
泣きそうだったあたしの頭に、柔らかい手がポンッと乗っかった。
へ…………?
いったい何が起きたのか、あたしはまだ理解出来ていなかった。
「な……成瀬川くん!!」
目の前に居る女の子が大きな口を開けたまま、目をまん丸にして驚いている。
あ……コイツの存在忘れてた。
教壇の下に居たんだっけ。
そんなことを思っていたら、いきなり腰の辺りに腕を回されてギュッと引き寄せられた。
「きゃ……」
今度は大きな両腕に閉じ込められて、コイツの胸にすっぽりと収まってしまったのだ。
な……なんなのよ――!
「イジメないでくださいよ?コイツ、泣き虫なんで」
腰に回る腕にグッと力が込められていく。