俺様王子と秘密の時間
あぁああああ………。
行きたくないよぉ。
なにが悲しくてバカみたいに暑いこの真夏に山奥まで行かなきゃイケないのよ。
「なにその荷物?お前、何泊すんだよ……ククク」
前の席に座る羽鳥が振り返って、あたしの旅行バックを見て笑った。
「………行きたくないよ」
あたしは机に突っ伏して、大きなため息をつく。
「なんでだよ?ま、山奥ってのは最悪だけど宿泊先のホテル、やっべえよ?」
「……え?ほんと?」
羽鳥はニッと笑ってパンフレットを開くと、あたしに見せる。