俺様王子と秘密の時間
そこにはあたし達が泊まるホテルが映っていたんだけど……お世辞でもあまり豪華とは言えない。
21階建ての高層ホテル。
その高さは魅力的だけど、山奥だけあって周りは緑に囲まれていた。
「見た目はまあまあだけど、部屋見てみろよ?」
促されて目をやると、どんより沈んだ気持ちが少しだけ明るくなった。
「すごぉおおおいっ!」
「だろ?山奥だけど、このホテル夏には都会から離れてリフレッシュ出来るし、秋は紅葉シーズンで人気らしいぜ?」
パンフレットの小さい文字を指さして羽鳥は説明してくれた。
見た目はまあまあでも、部屋はすごく綺麗。
あたしはてっきり旅館だとばかり決めつけてたんだけど……
シックな雰囲気で、大きく切り取られた窓に、お洒落な椅子と丸いテーブル、真っ白なベットがスタンドを挟んで二つ並んでいた。