俺様王子と秘密の時間
「忘れ物はないかー?これからバスに乗るぞーっ」
西山先生のバカでかい声さえも、あたしの耳にはあまり届いてなかった。
クラクラするのは、この異常な暑さのせいか……
それとも……
「シイ?」
「あっ……、なに?」
「ボーっとしてどうしたの?」
「へ?べべべべ別にぃい」
どもりまくってしまうあたしに、はーちゃんは「暑さでどうかしちゃったんじゃない?」なんて言った。
旅行バックと自販機で買った苺ミルクを持ってバスの前で整列する。
「きゃあああああっ!」
「王子の夏服やぁああばい!」
「萌・え・萌・え!」
ざわつく正門付近で、耳が痛くなるような甲高い声が聞こえた。