俺様王子と秘密の時間
部屋の中に沈黙が続いた。
きっと、千秋が好きなんだ……。
「はーちゃん……」
「あ、違うよ?好きとかじゃなくて、イキナリ部屋に来るから」
「………」
「王子様だし?ちょっとビックリしただけ……ハハ」
身振り手振りをつけて大袈裟に誤魔化すけど。
はーちゃんの赤らめた顔を見れば、恋愛初心者のあたしでさえわかるもん。
キャーキャー騒ぐだけの女の子たちとは違う、
“恋”をしてる瞳。
「ああー、なに言ってんだろう。シイ、先に談話室行くね」
パタンとドアを閉めてはーちゃんは出て行った。
胸に棘が刺さったみたいに、チクリと痛かった。
カチャ――。
ドアが開いて、はーちゃんが忘れ物を取りにきたんだと思った。
だけど、降ってきたのは低い声。