俺様王子と秘密の時間
そこには羽鳥が腕を組んで、あたしと千秋を見つめていた。
……もの凄く怖い顔で。
「なぁ?お前なにしてんだよ」
羽鳥は一歩一歩、あたし達が居るベットに近づいてくる。
いつもの羽鳥の声とは違って……おちゃらけてなんていないすごく低い声。
「……てめぇ、無理矢理シイのこと襲ったのか?」
「ちが……」
「シイは黙ってろ」
羽鳥の声にあたしは沈黙した。
カタカタ震えるだけで何も言えなかった。
それはキスしてるとこを見られ、バレたことが怖いんじゃなくて。
羽鳥に軽蔑されることが怖かったんだ。
こんなときでさえ、あたしは自分の心配ばかり。
「んな怖い顔してんなよ」
千秋はベットから立ち上がると、ワイシャツのボタンをゆっくり閉めた。
余裕の笑みを浮かべて。
「椎菜が欲しいから、キスした。それだけのことだろ?」