俺様王子と秘密の時間


そこには羽鳥が腕を組んで、あたしと千秋を見つめていた。


……もの凄く怖い顔で。



「なぁ?お前なにしてんだよ」


羽鳥は一歩一歩、あたし達が居るベットに近づいてくる。

いつもの羽鳥の声とは違って……おちゃらけてなんていないすごく低い声。



「……てめぇ、無理矢理シイのこと襲ったのか?」

「ちが……」

「シイは黙ってろ」


羽鳥の声にあたしは沈黙した。

カタカタ震えるだけで何も言えなかった。

それはキスしてるとこを見られ、バレたことが怖いんじゃなくて。


羽鳥に軽蔑されることが怖かったんだ。

こんなときでさえ、あたしは自分の心配ばかり。



「んな怖い顔してんなよ」


千秋はベットから立ち上がると、ワイシャツのボタンをゆっくり閉めた。

余裕の笑みを浮かべて。



「椎菜が欲しいから、キスした。それだけのことだろ?」

 

< 194 / 511 >

この作品をシェア

pagetop