俺様王子と秘密の時間
「いいのかな?救世主のオレに、そんな口利いて」
また一歩踏み出す成瀬川。
はあああああ!?
なんなの、この偉そうな態度。
「た……確かに、助けてもらったことは感謝してます……アリガトウゴザイマス」
もおおおおお、あたしのバカ!
お礼はちゃんと言ったんだから、さっさと逃げるのよ川村椎菜!
あたしは自分に言い聞かせて、体勢は変えないまま、そーっと出口の扉に手を伸ばした。
逃げようとした瞬間、
「おい、待てよ」
いつの間にか後ろに来た成瀬川に手首をギュッと掴まれた。
そしてまた、そのまま引き寄せられてしまった。
「ちょ……離してください!」
成瀬川の胸元に顔が埋まって、あたしは抵抗しようと試みた。
でも……
「離さねぇよ?」
耳元で囁かれて……何故か顔が赤くなってしまう。