俺様王子と秘密の時間


「こ……怖くない」


突然、千秋に声をかけられてビックリしたけどあたしは動揺を隠した。

羽鳥にバレてしまってから沈んでいた気持ちは、未だに晴れない。



「泣くなよ」

「泣いてないもん……」

「ふーん……」


千秋はクスッと笑うと、あたしの頭をポンポンと優しく撫でた。


そんな不器用な優しさに、胸が高鳴りを増す……。



「なんかあったらオレが助けてやるから。だから泣くなよ。な?」


こんな思いがけない優しさは反則だよぉ……。

あたし、違う意味で泣いてしまいそう。


そして、みんなが西山先生のオカルト話に夢中になっている隙を見計らって、千秋はあたしの顎に触れた。

そして……



「ホテル戻ったら、さっきの続きしような?」


あたしが答える前に、チュッ……て軽いキスをした。

みんなは全然、気づいてなかった。

 

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