俺様王子と秘密の時間
「やだぁ……離して……」
顔がポカポカ熱い……。
あたし……どーしちゃったの?
「川村椎菜、だろ?」
あたしを抱きしめたまま、成瀬川は囁く。
低い声のトーン。
耳元で聞こえて、あたしはコクンとただ頷いた。
だって……男の子にこんなことされるのは初めてだし、その相手がみんなの王子様なんだもん……。
悔しいけど、外見はやっぱりメチャクチャにカッコイイんだ……。
容姿端麗、成績も運動神経もバツグンに良くて……だけどちょっぴり無口でクールで。
そして……
学年一、可愛い女の子だろうが、スタイルの良い美人な先輩だろうが……。
絶対に誰の告白も受け入れない。
だから【氷のプリンス】なんて呼ばれているんだ。